ある一日の、物語。
お参りの朝から、家路につくまで。七五三の一日に流れた時間を、そのままの順番で。
鳥居をくぐる。
少し緊張した面持ちで、参道へ。いつもより背筋を伸ばした後ろ姿に、今日が特別な日だと、子供自身が気づいている。
静けさの中で、
手を合わせる。
社殿の厳かな空気。ご祈祷の太鼓の音。家族そろって頭を垂れるその時間を、邪魔をしないよう、そっと残す。
晴れ着の、主役。
仕立てた着物、結い上げた髪。一年に一度の装いに包まれた、誇らしげな表情を。作らない、その子だけの一枚を。
千歳飴を、
抱きしめて。
自分の背丈ほどもある、長い袋。小さな手で大切そうに抱える姿。こんなディテールこそ、後から見返してかけがえのない記憶になる。
手をつないで、
家路へ。
役目を終えた安心と、少しの疲れ。つないだ手と、並んで歩く後ろ姿。一日の終わりにこそ、家族の本当の表情がある。