ドレス管理システムのイメージ

Case Study / Dress Management System

1,000万円のシステムを導入できない。 ならば、現場から必要な仕組みをつくる。

約500着の衣装管理をめぐる、
撮影・AI・Web開発・業務改善プロジェクト。

Role
Photography / AI / Planning / Development
Scale
約500着・スタッフ8名
Stack
HTML / CSS / JavaScript
SCROLL

01

Project Background

ドレスはある。
しかし、管理する仕組みがない。

  1. 01

    パレスホテルに入っていた衣装店「マリエクラッセ」が閉店。

  2. 02

    R&J WORKS が約3,000万円でドレスを購入。

    ¥30,000,000

  3. 03

    新しい衣装店の工事がスタート。工事費は約6,000万円。

    ¥60,000,000

  4. 04

    ドレス管理システムを大手システム会社へ相談。見積額:約1,000万円。

    ¥10,000,000

  5. 05

    コスト面からシステム導入を断念。

約500着のドレスを、
別の方法で管理する必要が生まれた。

02

500 Dresses × Photography

まず、商品データをつくる。

約500着のウェディングドレスを、1着ずつトルソーに着せて撮影。撮影担当は私自身。

さらに、タキシード・和装についても商品撮影を実施。和装は衣桁に掛けて撮影しました。

  • Wedding Dress
  • Tuxedo
  • 和装
  • Lighting
  • Retouch

500着規模の商品撮影

3カテゴリ(ドレス / タキシード / 和装)

03

AI Model Generation

モデル撮影費を削減するため、
AIを使う。

モデルを雇って約500着すべてを撮影すると、大きなコストが発生します。

そこで「トルソー撮影 → AI → 人物着用画像」という制作フローを構築しました。

2点セット(前面・背面)を1着ごとに生成

撮影コストを増やさずに、着用イメージを全商品分そろえる。

トルソー撮影の元画像
01 / トルソー撮影 C-7377

AI

Virtual Try-on

AIで生成した人物着用画像
02 / 人物着用画像 C-7377

左右は同じ1着(C-7377)です。トルソーで撮った素材から、そのまま着用イメージを起こしています。

04

AI Quality Problem

「AIっぽい。」
「実物のドレスと違う。」

当初はChatGPTによる画像生成を使用。しかし上司から「モデルがAIっぽく見える」という指摘。

さらに衣装店の元幹部から「生成されたドレスが、実際の商品と異なっている」という指摘が発生しました。

ウェディングドレスでは、細部そのものが商品情報になります。

  • レース
  • ビーズ
  • 肩紐
  • シルエット
  • リボン
  • 装飾

そのためChatGPTによる画像生成を断念し、FASHN AI へ制作方法を変更しました。

AIの出力をそのまま採用せず、
「商品として正しいか」で判断した。

同じ品番 C-7544 を、それぞれの方法で生成したものです。

ChatGPTで生成したドレス着用画像
  • モデルがAIっぽく見える
  • 手を前で組み、体の線が隠れている
  • 実物にはない大きなリボンが腰に生成されている

05

Prompt Generator

次の問題は、
モデルが全員“棒立ち”になること。

FASHN AIへの変更によって、ドレスの再現性は改善。しかし今度は「モデルのポーズが単調」という問題が発生しました。

約500着分のプロンプトを毎回書き直すのは非効率です。そこで FASHN AI専用のプロンプトメーカー を開発しました。

ただし、条件を選べるようにしただけではありません。撮影して初めて分かった「商品写真として成立しない条件」を、ツール側のルールとして実装しています。

選択肢を増やすのではなく、
選んではいけない条件を、
ツールに覚えさせた。

プロンプトメーカーのブライダルポーズ選択画面。非推奨ポーズにバッジと理由が表示されている

ブライダル撮影向けの15ポーズ。「スカートを軽く持つ」には〈非推奨〉が付き、 “※裾をつまむとシルエットが崩れます” と理由まで表示されます。 商品写真では、ポーズよりドレスの形が優先されるためです。

  1. 01

    重い素材(サテン・ミカド)を選ぶと、物理的に成立しないポーズを自動で除外する。

  2. 02

    「棒立ち」「裾をつまむ」「布が舞う」「AI美肌フィルター」などをネガティブプロンプトとして常時出力する。

  3. 03

    前面と背面をセットで生成し、モデル・髪色・髪型・体型・背景は同じ値を共有する。同じ人物が着ているように見せるため。

ネガティブプロンプトの設定画面。撮影で起きた失敗がそのまま項目になっている

ネガティブプロンプト。撮影で起きた失敗が、そのまま項目になっています。 この節の見出しにある「棒立ち」も、ここに入っています。

プロンプトのプレビュー画面

日本語で選んだ条件が、英語のプロンプトへ変換される様子をリアルタイムに確認できます。

生成された完成プロンプトとネガティブプロンプト

出力される完成プロンプト。ドレスを保持する指示と、腕の高さの制限までが自動で組み立てられます。

すべての設定項目を見る
撮影用途と素材の設定
撮影用途 / 素材と動き
モデルと髪色の設定
モデル / 髪色
体型と髪型の設定
体型 / 髪型 / 表情
ドレスタイプの設定
表情 / ドレスタイプ
背景とライティングの設定
背景 / ライティング
カメラの設定
カメラ / ネガティブ
ランダム対象の設定
ランダム対象
プレビューの詳細
プレビュー詳細
前面・背面のプロンプト生成
前面・背面の生成
履歴と書き出しの機能
履歴 / JSON書き出し

500着以上。
このデータを、
どう管理する?

06

Dress Management System

撮影した500着以上のデータを
管理するシステムを作成。

ドレスごとに、以下の情報を確認できるドレス管理システムを開発しました。

  • 品番
  • 商品画像
  • 保管場所
  • 現在の状態
  • その他の商品情報

「探す時間」を、
検索の一手間に置き換える。

場所別の在庫画面。TOC倉庫の441着が品番の一覧で並んでいる

場所別の在庫 / 倉庫にある全品番

スマートフォンの管理メニュー。QR確認・在庫・運搬・クリーニングなどが並ぶ

管理メニュー / 機能はここから

撮影の集計・進捗画面。実質の着数と延べ件数、区分別、日別のグラフ

撮影の進捗も同じシステムで見えるようにしました。重複を除いた実数と延べ件数を分けて数えることで、「あと何着残っているか」が毎日わかります。

07

Staff Review

AI画像が正しいか、
現場スタッフが確認する。

AIで生成した画像について、「実物のドレスと違っていないか」を衣装店経験者が確認。確認済みかどうかを管理するチェック機能を追加しました。

AIだけで完結させるのではなく、AI + 専門スタッフ による確認フローを設計しています。

No.0142 / 確認済み

No.0143 / 確認済み

No.0144 / 未確認

No.0145 / 未確認

撮影履歴の画面。品番ごとに確認済みチェックとメモ欄がある

品番ごとに 確認済みチェックとメモ欄。写真が2枚そろっているか/1枚だけか/まだ無いかも色で分かるようにしています。
※ スタッフ名は伏せています。

写真の整理画面。1つの品番の前面・背面の画像が並んでいる

品番ごとに生成した画像を並べ、残すものだけにチェック。外した画像は削除ではなく「採用外」フォルダへ移動します。

08

Smartphone First

PCがないなら、
スマートフォンで使えるようにする。

資金面の問題から、衣装店スタッフ全員分のPCを準備することが難しい状況に。

スタッフ約8名が自分のスマートフォンから利用できるUIへ変更。品番を入力すれば、ドレス画像・保管場所・現在の状態などが一目で分かる仕組みにしました。

  • ドレス画像
  • 保管場所
  • 現在の状態
スマートフォンで品番を検索した結果。ドレス画像と現在地・状態・使用会場が表示されている

品番入力 → 即表示

09

Transport Management

次に発生したのは、
ドレス運搬のミス。

衣装を運搬する際、「何を / いつ / どこへ / 誰が指示し / 誰が運ぶのか」が曖昧になり、運搬ミスが発生しました。

そこでドレス管理システムに運搬管理機能を追加。指示から完了報告まで管理できる仕組みに改善しました。

  • 何を
  • いつ
  • どこへ
  • 誰が指示し
  • 誰が運ぶのか
  1. 01指示
  2. 02確認
  3. 03運搬
  4. 04完了報告
運搬リストの画面。搬入予定日ごとに品番と会場、搬入完了ボタンが並ぶ

搬入予定日ごとに、どの品番を・どこから・どこへ運ぶのかを一覧に。運び終えたら 「搬入完了」 を押して記録が残ります。

10

QR Code System

入力ミスを、
入力しない仕組みで防ぐ。

アルバイトスタッフによるドレス品番の手入力ミスが発生。そこで、ドレスのPカードにQRコードを付け、スマートフォンのカメラで読み込むだけで対象ドレスの情報を表示できる仕組みを追加しました。

QRコード発行機能については、誰でも発行できないように管理者向けの制限を設ける設計としています。

  1. 01QR SCAN
  2. 02DRESS INFORMATION
  3. 03CURRENT STATUS
QRラベル発行画面。管理者として解除中と表示されている

QRラベルの発行は管理者だけ。「🔒 管理者として解除中(あと30分)」 と表示され、時間が経つと自動でロックに戻ります。

QRラベルの印刷プレビュー。A4に品番つきのQRが並ぶ

A4に並べて印刷し、切ってPカードへ。QRの下には品番も印字されます。

印刷したQRラベルをスマートフォンのカメラで読み取っているところ

実際に現場で読み取っているところ。読めないときは手入力にも戻せます。

11

Availability Management

このドレス、
今使える?

衣装店経験者からの要望を受け、ドレスの現在状態を管理する機能を追加しました。

クリーニング終了後、いつ倉庫へ戻り、いつから再び使用可能になるのかまで確認できます。

  • AVAILABLE使用可能
  • IN USE使用中
  • TRANSPORTING運搬中
  • CLEANINGクリーニング中
  • RETURNING返却予定
QRを読み取った結果。クリーニング中と次回使用可能日が大きく表示されている

QRを読み取ると、まず 「クリーニング中」「次回使用可能 8月10日」。この一画面が、冒頭の問いへの答えになります。

クリーニングに出ている16着の一覧画面

クリーニングに出ている分をまとめて把握。戻ってきたら倉庫かショップかを選んで回収します。

Evolution

現場の声のたびに、
システムは形を変えた。

  1. 01PHOTOGRAPHY商品撮影
  2. 02AI GENERATION着用画像生成
  3. 03PROMPT GENERATORプロンプト自動化
  4. 04DRESS DATABASE商品データ管理
  5. 05STAFF REVIEW専門スタッフ確認
  6. 06SMARTPHONE全スタッフ対応
  7. 07TRANSPORT運搬管理
  8. 08QR CODE入力ミス防止
  9. 09AVAILABILITY稼働状況管理

12

Result

現場の問題から、
システムをつくる。

このシステムには、最初から完成された仕様書はありませんでした。

撮影する。問題が見つかる。現場スタッフから意見を聞く。改善方法を考える。AIとWeb技術を使って実装する。そして、また実際の現場で使ってもらう。

その繰り返しによって、撮影データの管理から始まった仕組みは、画像確認、スマートフォン対応、運搬管理、QRコード、クリーニング・稼働状況管理へと広がっていきました。

このプロジェクトでは、写真撮影やAI画像生成だけではなく、「現場で何が問題になっているのか」を見つけ、「どうすれば仕事が楽になるのか」を考え、実際に使える仕組みに変えていくことに取り組みました。

このシステムは、いまも現場で使いながら開発を続けています。掲載している画面は2026年8月時点のもので、着数や状態はその日の実データです。

My Role

担当した領域

  • 01Photography約500着の商品撮影
  • 02AI Image Generation着用画像の生成フロー構築
  • 03Prompt Engineeringプロンプトメーカー開発
  • 04System Planning要件の整理と優先順位付け
  • 05Workflow Design撮影〜運搬までの業務設計
  • 06UI / UX DesignPC・スマートフォン両対応
  • 07Web Development実装・改善
  • 08Problem Solving現場課題の発見と解決
  • 09Operational Improvement運用に乗せるまでの改善

Tools

使用ツール

  • Claude Code
  • ChatGPT
  • FASHN AI
  • Netlify
  • HTML / CSS / JavaScript
  • Google Apps Script
  • Google Spreadsheet
  • Adobe Lightroom / Photoshop